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傾聴活動の再開を願う

傾聴活動の再開を願う

傾聴との出会い

初めて「傾聴」に出会ったのは10年近く前の東京大学市民後見人養成講座でした。当時は「傾聴」について深く考えることなく<お話を伺いこと>くらいに受け止め、市民後見人制度の理解に必死でした。講座終盤、認知症高齢者グループホームで10日間(1日6時間)の実習があり、お一人の方のお話を伺いレポート提出が課題。「傾聴」の実践には絶好の機会でしたが、レポート作成に焦点を当て、傾聴が何かを考える余裕がなかったことが反省されます。

その講座とも相前後し、高齢者施設・住宅を多数見学させていただいてまいりました。近年、そこで生活される高齢者の方々がどのようなお気持ちで、どのように過ごされてこられたのか、これからどのような生活をご希望なのかを知ることが、終活を考える上で大切。そこで、「傾聴」がキーであることに気づきました。

傾聴ボランティアグループに入会して

2年前に市が主宰する「シニア傾聴講座」に出席し、その後傾聴ボランティアのグループに入れていただきました。特養入所者とデイサービス利用者の方々のお話を伺う会です。立ち上げメンバーの大先輩方の手法を間近で拝見しながら、毎回試行錯誤、手探りで学び始めたところでした。

ところが、コロナショックで活動が中断されてしまいました。

「傾聴はとても奥が深い」というところまでしか掴めていないない段階でしたので、大変残念です。

活動の中で

ある80代女性は、「私は〇〇デパートで働いていたの。地下の食品売り場だったのよ。お休みの日は夫と子どもたちと、多摩川の河原へ、お弁当を持って遊びに行ったの。楽しかったわ」と、懐かしそうにお話しされました。今とあまり変わらないのどかな家族団らんの情景が浮かんできました。

また、ある方は、「私はこの近くの農家に生まれて、ずっとこのあたりで暮らしてきたの。戦争中でも食べ物は他の家よりはあったわ。妹や弟の世話をしていたわ。父が、下の子の面倒をよく見てくれるからと、私だけにお土産をくれたのよ」と。すると、「私は、学校から集団疎開していたわ」とか、「私は砂川に住んでいて、近くの米軍基地に勤めていたの」など。

女性の方々は、よく戦争中の話をされます。皆さん大変な時代を懸命に生きてこられ、その当時の印象が強く脳裏に残っているのでしょう。しかし、そのお話は決して辛かったことばかりではありません。大変な中でも小さな楽しみを見出し、ひたむきに生きてこられたことが伝わってきます。伺っていて心に沁みてくるのです。

再開を願いながら

皆さん、さまざまな環境の中で生活されてこられ、今このデイサービスの場に集い、他愛もないおしゃべりをしている。「一人で家にいてもつまらないから、デイサービスに来るのが楽しみなのよ」と。

人生の先輩方のお話を伺えるのは、とても勉強になります。心を開いてお話しくださる嘘偽りのない生きた証のお話を伺えることに感謝しています。

「あの方たちはどうしていらっしゃるかしら?」と、時々気になります。

コロナがどのように収束し、いつ傾聴活動が再開されるようになるかわかりませんが、またお話を伺える日を楽しみにしております。

岡本典子

岡本 典子 (おかもと のりこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)、1級ファイナンシャルプランニング技能士、住宅ローンアドバイザー、「終のすみか探し」コンサルタント

両親の高齢者向け住宅への住み替えをきっかけに、『高齢期の住まい』に着目。東京・神奈川を中心に、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、特養、グループホームなど、200ヶ所以上を訪問。シニアライフを安心・安全・安寧にすごせる「終のすみか」探し・住み替えコンサルティングに力を注いでいます。昨今は「高齢者向け施設・住宅のセミナー&見学会」の講師や、見学同行・ガイドでも好評を得ています。

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