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年金額夫婦2人で16万円の老後は生活できますか?

年金額夫婦2人で16万円の老後は生活できますか?

年金積立金は30年後枯渇?

厚生労働省2019年財政検証が公表されました。財政検証とは年金制度が持続可能かどうかを検証する報告書で、2004年の年金改革法によって5年に1度の割合で実施することが義務付けられました。年金給付額の水準は「所得代替率の50%以上を維持する」ことが法律で定められています。

所得代替率50%とは現役男子の手取り収入の50%が年金給付額となります。2019年では現役男子の手取り収入は平均35.7万円/月、夫婦の年金額は平均22万円/月(夫:老齢厚生年金9万円/月、夫婦合算の老齢基礎年金は13万円/月)ですので所得代替率は61.7%(前回の財政検証からマイナス1%)となっています。

財政検証では経済成長と労働参加が進むケース(ケースⅠ?Ⅲ)、一定程度進むケース(ケースⅣ?Ⅴ)、進まないケース(ケースⅥ)で所得代替率が試算されています。ここでは経済成長と労働参加が進まないケースⅥで考えてみます。

約30年後の2052年の現役男子手取り収入は40.7万円/月、夫婦年金額18.8万円/月となり、所得代替率46.1%と試算されています。また、機械的に給付水準調整(マクロ経済スライドによって給付水準が調整)を進めるとGPIFで運用されている年金積立金がなくなり、その後は完全に年金保険料で給付額をまかなう賦課方式に移行し、保険料と国庫負担で賄うことができる給付水準の所得代替率は38%?36%程度と試算されています。年金額は現役男子の手取り収入40.7万円/月×所得代替率38%≒15.5万円/月と想定はされます。

今回の財政検証ケースⅥの経済指標は物価上昇率0.5%・賃金上昇率0.4%・運用利回り0.8%・経済成長率▲0.5%で試算されています。なお、財政検証ケースⅠ?Ⅵの実質賃金はプラスで試算されています。

賃金上昇率が0.4%以下またはマイナスと仮定すると男子の手取り収入額は40.7万円/月以下となり、年金収入はさらに減額となる可能性はあります。現在、年金給付額は{年金保険料+国庫負担1/2+GPIF積立金}という構成です。

人口減・少子高齢化・被保険者の減少・長寿化等の中、所得代替率50%以上維持するという法律を遵守するためには、国としては保険料収入と給付額とのギャップをいかに無くすかが課題といえます。

人生100年時代を乗り切る!

2050年頃の年金受給者となる現在30歳?40歳の方にとっては、この財政検証を踏まえ、今後のリタイア後30年?40年間の老後生活期間に備え、老後資金をいかに確保するかを考えなければなりません。

結果的に経済成長と労働参加が進む財政検証ケースⅠ(2060年夫婦年金額32.7万/月、物価上昇率2%含む)で推移すればさほど心配はないのですが、今後30年?40年間、なにが起こるかだれも想像できません。

「まさか」の事態も想定しておく必要があります。

今のままの家計消費支出では年金のみで暮らしていくのは困難といえるでしょう。人生100年時代を生き抜くためには、老後生活費の大黒柱である公的年金額や退職金額等を知ることです。

それを踏まえ、年金以外の「プラスアルファ」をしっかり計画しましょう。

下記を参考例としてご紹介します。

・個人資産:税制優遇金融商品を活用 財形貯蓄・個人年金・確定拠出年金・NISA(一般・つみたてNISAは定年後からスタートできます)・小規模企業共済(個人事業主等)を活用しましょう。

・公的年金:繰下げ受給による年金増額の選択も視野に入れます。増額率は0.7%/月です。満額で試算すると65歳時の基礎年金受給額約78万円/年⇒70歳から約110万円/年、75歳から約143万円。

・企業就労制度:雇用延長・定年延長・定年廃止を活用し、長く働く選択を見つけましょう。

・定年後「起業」:現役時代の経験や人脈を生かし、また資格取得し有効活用し、老後も収入を得ましょう。

・不労所得を確保:不動産等

老後必要資金を知る

老後生活費の大黒柱である公的年金に頼れる時代ではないことを認識しましょう。

まず、リタイア後の老後資金はいくら必要かを明確にし、ライフプランを考えましょう。

ある程度明確化できる資金を知る(収入):公的年金・退職金等・個人年金保険・確定拠出年金等。

老後保有しておきたい資金の明確化(支出):住宅関連費・趣味レジャー費・お子様支援・車関連・交際費・医療介護費等を確認しましょう。これらをベースにいつまで働き、どの程度資産を形成・運用し、取崩しをするか計画します。早ければ早いほど資産形成は有利です。人生の半分は老後期間となりつつあります。まずは老後必要資金を設定することからスタートし、住宅購入費・教育費・資産形成等のライフイベントを計画していきましょう。

参考資料 厚生労働省2019年8月27日
2019(令和元)年 財政検証結果https://www.mhlw.go.jp/content/000540199.pdf

ファイナンシャル・プランナー 入野泰爾

入野 泰爾 (いりの やすじ)

ファイナンシャルプランナーCFP、FPデザインオフィス 代表
海外ロングスティアドバイザー(2012.8取得)、1種証券外務員(2013.2取得)、
年金アドバイザー(2013.11取得)、住宅ローンアドバイザー(2014.1取得)、
相続アドバイザー(2014.3取得)、日本FP協会会員、
神奈川県ファイナンシャルプランナーズ組合員

大学卒業後、大手食品メーカーで営業部門・総務部門を経て2012.2定年退職後、FPとして家計相談、セミナー講師、FP資格講師などで活動しております。前職時代の経験、また私自身の経験を通して現在の超高齢社会での長期間に渡る老後において安心・安全な生活を過ごせるようにいろいろな角度からアドバイスをして参ります。得意分野は金融資産運用含め、リタアメントプランを中心に展開しております。若年層から高齢者層の方々が自分の夢や希望を実現させるためにお役にたてれば幸いです。

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