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自分の想いを未来へ託す家族信託

自分の想いを未来へ託す家族信託

家族信託で安心な相続実現

2017年7月27日に厚生労働省の調査発表によれば、2016年の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳で、いずれも過去最高を更新されました。前年に比べ女性が0.15歳、男性は0.23歳延びました。過去最高の更新は女性が4年連続、男性は5年連続です。国際比較では男女とも香港に次いで世界2位となりました。平均寿命が年々伸びるとともに老後期間も長くなり、介護や認知症リスクを考えなければならない時代となっています。

この超高齢化社会の中、安心して老親の生活と財産を守り、そして継承し、円満・円滑な相続を実現するための効果的な方法として家族信託という仕組みを活用したいものです。

この制度は2007年9月に新信託法が施行され、営利を目的としなければ、一般の個人にも財産を信託することができるようになりました。遺産を持つ方が自分の老後や特に介護等に必要な資金の管理・給付を行う際、保有する不動産や預貯金などを信頼できる家族に信託し、管理・処分を任せる家族のための財産管理のことです。

財産管理には成年後見人制度や任意後見制度がありますが、これらの制度では本人の判断能力が衰えるまで第3者は財産管理が行えないことになっています。残念ですが、誰もが利用可能な制度ではありません。家庭裁判所の監督下で財産管理されるため活用しにくい面もあります。コスト面では発生する事務負担や経済的負担が発生します。しかし、家族信託では本人の判断能力がある状態でも利用が可能となっています。また後見人制度よりもコスト面等の負担も回避できます。本人が死亡した場合、後見業務は終了となりますが、家族信託では遺言による信託契約や本人死亡後も信託は終了しないと契約すれば、長期的な資産管理が可能となります。

家族信託のイメージを図式化してみますと下記の様な関係が一般的となります。

親(委託者)が子(受託者)に管理を任せ、その経済的利益は今まで通り親(受益者)が受けるという関係です。

自分の想いを未来へ託す家族信託

委託者と受託者が直接契約書を締結すれば、家族信託は可能です。この契約書は体裁が整ってさえいれば、役所や公的機関での作成の必要はありません。

認知症対策としての家族信託

家族信託を利用することで従来の相続対策では不可能だった代表例をみてみましょう。

2015年に厚生労働省が発表した推計によれば、2025年には認知症患者は約700万人に上り、65歳以上の5人に1人が認知症の世の中になるといわれています。誰しもこの1人にはならないとは限りません。この認知症へのリスク対策としてこの家族信託が利用できます。認知症になると判断能力が低下し、契約行為はできなくなり、資産が凍結されることがあります。自分の将来のことを決められなくなってきます。家族信託を利用することで、本人の意思を反映していくことが可能となります。

家族信託を始めるタイミングは認知症になる前、判断能力を喪失する前の段階で信託契約を親と子で締結する必要があります。これにより親が認知症などの意思判断能力を喪失しても、子は子の判断で、不動産を第三者に貸したり、処分・組み換えや建物を建築することも可能になり、また、親が老人ホームに入居し、入居費用を捻出するのに空き家になった自宅を子が売却することも可能となります。

親の思いを大切に

遺言を作成して、自分が死んだ後に財産を誰に相続してもらいたいかを指定できますが、その次の指定先を指定はできませんが家族信託では二次相続以降の承継者を指定することができます。

例えば老夫婦で夫をA、認知症の妻をB、息子Cとします。一般的な遺言ではAがBに財産を渡すところまでですが、Bが遺言を書けない状況である場合、家族信託ではBの将来の財産について資産承継の指定が可能となります。Aの想いをCが受託することにより、受益者連続(父A から母Bへ)の機能を活用することで、Aの想いを形にし、老夫婦の安心な老後と円滑な資産承継を実現することができます。

遺言は1回限りで、自分が亡くなった後、誰に資産を相続するか指定できますが、将来、その相続人が亡くなった後に自分が残した資産が誰に渡るかまでは指定できません。家族信託では受益者を次々に指定できる受益者連続という機能がありますので、被相続人の想いが代々引き継がれていくことも可能となります。

相続財産の一部を「信託」すれば、その財産は相続財産から外れ、遺産分割協議の対象にはなりません。

家族で財産を守る

家族信託では前述した内容の他にも、株式の承継や不動産の共有問題を解決したり、障害を持つ子のためにも利用したりすることもできます。この制度を利用すれば、今までできなかった資産承継ができるようになります。

実際に家族信託の利用を検討されるときは、相続全体を熟知した司法書士や税理士等の専門家としっかりご相談をされることを望みます。ちなみに専門家に依頼する場合の手数料は概ね財産に対しての0.1%~1.0%が必要となります。

そして、大事なことは、家族全員で家族の財産を守っていくため、いつ・何を・誰に・いつまで託すのかを家族会議などを通して親子間の対話をすることが重要です。本人自身も財産管理や処分で家族に迷惑をかけてしまうのではないかという心配を解消することもできます。また、子どもにとっては親の財産管理が容易にできるというメリットがあります。

この高齢化社会で将来を見据えて、安心した老後を迎えるためにも、家族信託制度を利用し、判断能力がある時期に早めの資産管理や資産承継を決めておくことも必要ではないでしょうか。一考の価値ありと思います。

ファイナンシャル・プランナー 入野泰爾

入野 泰爾 (いりの やすじ)

ファイナンシャルプランナーCFP、FPデザインオフィス 代表
海外ロングスティアドバイザー(2012.8取得)、1種証券外務員(2013.2取得)、
年金アドバイザー(2013.11取得)、住宅ローンアドバイザー(2014.1取得)、
相続アドバイザー(2014.3取得)、日本FP協会会員、
神奈川県ファイナンシャルプランナーズ組合員

大学卒業後、大手食品メーカーで営業部門・総務部門を経て2012.2定年退職後、FPとして家計相談、セミナー講師、FP資格講師などで活動しております。前職時代の経験、また私自身の経験を通して現在の超高齢社会での長期間に渡る老後において安心・安全な生活を過ごせるようにいろいろな角度からアドバイスをして参ります。得意分野は金融資産運用含め、リタアメントプランを中心に展開しております。若年層から高齢者層の方々が自分の夢や希望を実現させるためにお役にたてれば幸いです。

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