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サードライフを見据えた、セカンドライフの住まい方・暮らし方(後編)

サードライフを見据えた、セカンドライフの住まい方・暮らし方(後編)

10月のコラムでは、どのようなセカンドライフの住まい方・暮らし方があるか、以下のように大きく3つに分けました。
① 今の家に住み続ける
② 別の場所・家に住み替える
③ 高齢者用住宅に住み替える
前回は③の高齢者住宅をテーマにしましたので、今回は①の「今の家に住み続ける」に絞って、解説していきたいと思います。

望ましい老後の住まい方は?

平成23年3月の内閣府政策統括官による55歳以上の男女を対象とした「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」によると、【住宅の状況】に関して「持ち家率」が約9割、「住まいの築年数31年以上」が約5割、そして【住まいの困りごと】に関して、上位は「古くて傷んでいる」「階段や段差など高齢者には使いづらい」「水回りが使いづらい」となっています。
また同調査の【虚弱化したときの居住形態】では、「現在の住まいにそのまま住み続けたい」が37.1%で最も高く、次いで「現在の住まいを改造して住みやすくする」が26.7%、「介護が受けられる老人ホームなどに入居する」が19.0%という結果でした。いずれにしても、現在の住まいに住み続けることを希望する高齢者が6割以上であることが分かります。
これらの調査結果の中から、【虚弱化したときの居住形態】と【住まいの困りごと】に着目して、「現在の住まいに安心・安全に住み続ける」方法について考えて行きたいと思います。

現在の住まいに、安心・安全に住み続ける

「長寿命化リフォーム」ということばをご存知でしょうか?住まいの耐震性能、省エネ性能、バリアフリー性能などの住宅性能を上げて、安心・安全に長く住み続けることができるリフォームを意味します。各性能の概要は以下の通りです。
【耐震性能】
震度6強から震度7(阪神・淡路大震災レベル)の力の1.25倍の力に対して倒壊しない程度の性能を確保。
【省エネ性能】
内窓の設置、床・壁・天井の断熱改修により、住まいの温熱環境を改善すると同時に光熱費を抑制する。
【バリアフリー性能】
段差の解消・昇降しやすい階段・手すりの設置・廊下及び出入り口の適切な幅の確保・水回りの適切な広さの確保等。

これらの性能を上げる、耐震リフォーム、省エネリフォーム、バリアフリーリフォームには、減税制度が適用されます。詳しくは後述しますので、リフォーム計画の際は合わせて検討してください。
長寿命化リフォームは、いきなり工事に取り掛かるのではなく、まずは現在の住まいの各性能のレベルを確認し、どこを強化すべきかを把握することが重要です。耐震性能については、各自治体で無料の耐震診断を行っていたり、耐震補強工事に助成金を出すケースなどがありますので、事前に確認すると良いでしょう。省エネ性能については、工務店や建築家などの専門家に調査を依頼し、現状を把握することが可能です。バリアフリー性能については、段差の解消や手すりの設置、廊下や階段の幅など、目に見えるものなので、自分で確認することができます。但し、バリアフリーを性能としてのみ考えていくと、本来の意味から外れることもあるので、次の項目でもう少し掘り下げて説明していきます。

バリアフリー住宅の考え方

バリアフリー住宅と聞くと、上述したような段差の解消や手すりの設置がまず頭に浮かび、そして高齢者や身障者のための家という印象がありますが、本来は生活の障壁(バリア)を取り除き(フリー)、住む人全てが快適で、自立した生活ができる住まいを意味します。
バリアフリー住宅を計画する時に特に重要なのが、自分達の生活動線を把握することです。例えば、朝起きて、トイレに行き、顔を洗って、朝食を作りそして食べる。その一連の動線がなるべく短くそして単純であれば、それがその人にとってのバリアフリーとなります。具体的には、頻繁に行き来する部屋はなるべく近くに、そして同じ階に計画する。動線上に家具や物などの障害物を置かない。出入りしやすい位置にドアを付けるなど。
次に自分の身体機能と体格について考えます。家の中を移動する手段ひとつとっても、身体機能によって歩く、杖をつく、手摺につかまる、車椅子を利用するなど様々です。手摺を例に取ると、靴を履くときや入浴時など、どの動作の時に手摺を必要とするかを踏まえた上で、身長や手の大きさ、握力を考慮し、適切な取り付け位置や形状を決めていきます。深く考えずにトイレに手摺を付けてしまった結果、そこに身体がぶつかり、かえって障壁(バリア)になってしまったという失敗例もあります。
また誰でも年を重ねると、生活スタイルや身体機能に変化が出てきます。元気な時にバリアフリー対策をし過ぎると、かえって機能が衰えてしまうという考え方もあります。そこで様々な変化に柔軟に対応できるよう、例えば手摺を後付けできるように予め下地を入れておく、車椅子の利用や介助が必要となる場合を想定し、トイレの壁を簡単に撤去できるようにするなど、少し先を見越した設計を心がけることが重要です。
このような手順で考えていくと、自分にとって最適なバリアフリー住宅の形が見えてきます。

リフォームの減税制度・助成制度

減税制度や助成制度については、待っているだけでは情報は入ってきません。老後の資金を大切かつ有効に使うためにも、正しい情報をしっかり収集しておくことが重要です。
高齢者向けの住宅改修費の助成金で一番浸透しているのは、「介護保険法による住宅改修費の支給」ではないでしょうか。対象は①居住要介護被保険者および、②居住要支援被保険者の住宅に対する手すり取り付け等の一定の住宅改修に対し、20万円を上限として(9割が保険で支給、自己負担1割)支給されます。問い合わせ先は各市区町村となります。
バリアフリーリフォームを対象とした税の優遇措置には、所得税額の控除と固定資産税の減額措置があります。所得税額控除には、「投資型減税」「ローン型減税」「住宅ローン控除制度」があり、これらのうちの1つが適用となります。所得税額の控除と固定資産税の減額措置の対象となるバリアフリーリフォームは、以下の8つの工事項目となります。
①通路等の拡幅 ②階段の勾配の緩和 ③浴室改良 ④便所改良 ⑤手すりの取付け 
⑥段差の解消 ⑦出入口の戸の改良 ⑧滑りにくい床材料への取替え
バリアフリーリフォームの減税制度には、年齢や工事内容、工事金額など制度ごとに適用条件があります。また他に耐震リフォームの減税制度、省エネの減税制度、リフォーム補助制度などの公的支援策がありますので、詳細については一般財団法人住宅リフォーム推進協議会のHP http://www.j-reform.com/zeisei/index.htmlでご確認ください。

阿比留美和

阿比留 美和 (あびる みわ)

一級建築士

住宅メーカーと設計事務所で専用住宅や併用住宅、共同住宅などの設計業務を行った後、その経験を生かしてリビング・デザインセンターOZONE(OZONE住まいづくり相談)で、終の棲家やバリアフリー住宅についてを含む、住まい づくり全般の相談に対して、中立的な立場からアドバイスを行う。

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