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介護保険制度のあゆみとこれから

介護保険制度のあゆみとこれから

平成12年に介護保険制度が始まり、17年目になりました。高齢化が進み、介護認定を受ける人や、サービスを受ける人は年々増加しています。どのような変化があったのか?またどう変わっていくのか?今後の課題などについて考えていきます。

介護保険制度とは?

高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みです。平成12年4月から始まりました。

介護保険制度のこれまでの歩み

介護保険は3年ごとに見直し、改正が行われています。(変更年月と主な変更点)

平成12年4月 介護保険法施行

平成17年改正

・地域包括支援センター開設と予防給付の開始
・介護サービス情報の公表
・住み慣れた地域でいつまでも暮らせるような地域密着サービスの開始 など

平成20年改正

・介護サービス事業者の業務管理体制についての整備 など

平成23年改正

・地域包括ケアとして新たなサービスの開始。
・介護職員によるたんの吸引等の実施を可能にする取り組み開始(医療的ケア)
・有料老人ホーム等の利用者保護 など

平成26年改正

・地域における在宅医療と介護の連携の強化
・一定以上所得のある利用者の自己負担を引き上げ(平成28年8月)など

介護、医療現場はどう変わる?

このような改正を受けて、介護、医療の現場では様々な変化が起きています。特に平成23年の改正から以下の点が変わりました。

1)医療と介護との連携

医療においては、在宅医療と、地域の病院との連携を図ることにより、住み慣れた地域や自宅で医療を継続出来るようになっています。また、平成23年の改正から定期巡回・随時対応サービス、看護小規模多機能型居宅介護など、看護や介護が連携しているサービスが始まりました。これにより、単身世帯や重度の要介護者の方でも、住み慣れた場所で安心して生活出来るようになっています。

 

2)介護人材の確保とサービスの質の向上

① 介護福祉士等による痰の吸引等の実施

今まで、たんの吸引や経管栄養などは医療行為とされていましたが、社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正(平成28年4月~)により、一定の条件のもとに介護福祉士等が痰の吸引や経管栄養などを行う事が可能になりました。在宅や施設においても、医師、看護師などの医療職との連携のもとに、痰の吸引や経管栄養が適切に受けられるようになります。 

② 介護福祉士の資格取得方法の見直し

介護福祉士の実務経験ルートの研修は、介護ヘルパー1~3級、介護職員基礎研修など様々な教育課程がありましたが、介護職員初任者研修と実務者研修に変更になりました。介護福祉士を取得する際は、平成28年度から、実務者研修(介護過程と痰の吸引等の医療的ケア)修了と実務経験3年以上取得し国家試験を受験し、合格後登録により資格が取得できます。また、介護福祉士養成施設を卒業すると、介護福祉士の資格取得が出来ましたが、平成29年度実施試験から国家試験受験が段階的に必要になりました。

このような変更により、介護福祉士のスキルアップと医療・福祉の連携の強化が図られることが期待されています。医療的ケアが必須となった第29回介護福祉士国家試験が、平成29年1月29日に行われました。受験者数76,323人(前年152,573人)合格者数55,031人(前年88,300人)合格率72.1%(前年57.9%)との結果になっています。例年と比較すると受験者数は半減していますが、合格率は増加しています。今後の成り行きに注目したいところです。

これからどう備えるか

介護保険制度は、制度創設以来17年を経過し、平成29年2月サービス受給者は516万人となっています。2025年には、団塊の世代がすべて75歳以上となり、要介護認定を受ける人が増え、介護の担い手が約37.7万人不足するという政府推計が出ています。

介護職やサービスの不足、介護のための入所施設の不足も考えられ、切実な問題です。介護の人材は専門的な教育も必要ですが、ボランティアや時短勤務、元気な高齢者の方の就労など柔軟な働き方の検討も必要になるでしょう。また、重労働になりがちな介護の軽減や高齢者の自立支援として、介護ロボットの開発が進んでいます。早急な実用化が待たれているところです。

高齢になったからといって、必ずしも医療や介護が必要になる訳ではありません。健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活出来る期間)を延ばすための、栄養・食生活、身体活動、運動、飲酒、喫煙などの生活習慣について、1人ひとりが心がけていくことが必要ではないでしょうか。

松尾 孝子

松尾 孝子(まつお たかこ)

ユアライフステージ代表、 ファイナンシャルプランナー(AFP)、看護師 介護支援専門員(ケアマネジャー)、心理相談員、 社会福祉主事任用 シニアライフアドバイザー 、所属学会:交流分析学会 日本抗加齢医学会学会

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