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仕事と介護の両立のために知って使おう!
介護休業や介護休暇の制度

仕事と介護の両立のために知って使おう!介護休業や介護休暇の制度

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)」が改正され、平成29年1月1日に施行されました。働きながら家族の介護をする上で知っておきたい法律の改正です。今回は介護に関する改正部分について解説します。

介護に関して改正された7つのポイント

1月1日から施行された育児・介改護休業法の改正ポイントは7つあります。介護離職を防止して仕事と介護の両立を支援するために制度が見直されましたので、改正前と改正後で比較してみました。

仕事と介護の両立のために知って使おう!介護休業や介護休暇の制度

各々を細かくみていきましょう。


介護休業

労働者(日雇い除く)が、要介護状態の対象家族を介護するための休業のことをいいます。介護をする家族1人に対して通算93日までが取得可能です。改正前は原則1回の取得でしたが、改正後は3回に分けて通算93日まで取得ができます。例えば、1回目は40日、2回目は30日、3回目は23日というように3回の合計日数が93日までであればよいということになります。

介護休業というと自分が家族を介護をするための休業と思いがちですが、仕事と介護を両立させるための準備としても使うことができます。介護保険のサービスをどのように使ったらいいか、親戚などと協力して介護ができないかなど、介護をしながら仕事を続けるための体制作りにも使えます。

介護休暇

労働者(日雇い除く)が、家族の介護やその他の世話をするためにとる休暇のことをいいます。例えば、病院に付き添いで行ったり、本人に代わり役所への手続きに行くときなどにも利用できます。介護の対象になる家族1人につき1年に5日(家族が父と母など2人以上の場合は10日)まで取ることができます。

介護のための所定労働時間の短縮措置等

事業主は、家族の介護をする労働者に対して、以下のうちいずれか1つを選んで措置を講じなければならないとされています。

①所定労働時間の短縮措置
②フレックスタイム制度
③始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ(時差出勤の制度)
④労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度

上記の4つある措置の種類は今回の改正では変わっていません。以前と同じですが、介護休業とは別に使えるものになりました。

介護のための所定外労働の制限(新設)

所定外労働とは残業のことをいいます。介護が必要な家族1人につき、介護の必要がなくなるまで残業の免除が受けられることになりました。今回の改正で新しくできた制度です。

介護休業や介護休暇取得などのための対象家族の範囲

対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。いままでは、対象家族が、祖父母、兄弟姉妹、孫のときは、同居かつ扶養が要件でしたが、この要件はなくなりました。

例えば、孫である自分が離れて暮らしている祖父母のために介護休業や介護休暇を取ることができるようになりました。親と協力して祖父母の介護の体制を整えるためにも使えます。

要介護状態の「常時介護を必要とする状態」

介護休業や介護休暇を取ることができる対象家族の要介護状態(介護が必要な状態)は、「負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」となっています。

この常時介護を必要とする状態というのは、介護保険制度の要介護の区分では要介護2以上、または、定められた判断基準において一定の状態になる場合をいいます。(文末の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」を参照)

判断基準が緩和されたことで、介護保険制度の要介護認定を受けていない家族でも対応が可能になっています。つまり、介護をする予定の家族が要介護認定を受けていないときでも基準を満たせば介護休業や介護休暇を取ることができるようになりました。

有期契約労働者の介護休業の取得要件

有期契約労働者とは、例えば6カ月などの期間を区切って雇用契約をして働く労働者のことを言います。この有期契約労働者が介護休業を取るときの要件が改正後は緩和されています。

改正前と後の比較表にある②の介護休業の取得日より93日経過する日から6ヵ月を経過する日までの間に、というのは、「93日+6カ月」の期間になりますので、介護休業の取得日から9カ月経過する日までに雇用契約が満了して更新されない状態ではない、という意味になります。

1人で背負わないことが大切

法律の改正があっても介護のために会社を休んだり、遅刻早退ができにくいと感じることがあるかもしれません。ただ、誰にも相談せずに介護のために会社をやめてしまうと自分の人生設計や老後資金に大きな影響が出てきます。まずは、介護をしながら仕事を続けることができるように、1人で背負わずに地域包括支援センターや専門家などに相談することを考えてみましょう。

また、介護休業や介護休暇、残業の免除を申請できる労働者の条件は日雇いを除く以外にもあり、会社によって違うので事前の確認が必要になります。

そして、いますぐに介護休業などを使わないとしても就業規則などは確認をしておきましょう。育児休業や介護休業などを理由とするハラスメント防止のために、会社としての方針や対処内容を就業規則などに規定して社員に周知・啓発したり、相談窓口を設置するなどの対応が平成29年1月1日から事業主に義務づけられています。

【参考】常時介護を必要とする状態に関する判断基準(出典:厚生労働省)

「常時介護を必要とする状態」とは、以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であること。
(1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
(2)状態①~⑫のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。

常時介護を必要とする状態に関する判断基準

(注1)各項目の1の状態中、「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む。
(注2)各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者等の場合に必要な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。
(注3)「①座位保持」の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば1人で座っていることができる場合も含む。
(注4)「④水分・食事摂取」の「見守り等」には動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む。
(注5) ⑨3の状態(「物を壊したり衣類を破くことがほとんど毎日ある」)には「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を含む。
(注6)「⑫日常の意思決定」とは毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力をいう。
(注7)慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定 はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合 意等)には、指示や支援を必要とすることをいう。

ファイナンシャル・プランナー 佐川京子

佐川 京子(さがわ きょうこ)

佐川京子行政書士事務所 代表
行政書士、ファイナンシャルプランナー
終活アドバイザー、福祉住環境コーディネーター

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