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在宅介護は家族介護から地域包括ケアへ

在宅介護は家族介護から地域包括ケアへ

日本はこれまで家族介護に依存してきました。その介護は誰が担っていたかというと、女性、中でも嫁の役割が大きかったと思われます(男性の場合もあります)。

2000年に施行された介護保険によって、堂々とお金を支払って親の介護を専門職に任せることができるようになりました。私も嫁の立場として、地方に住む義母の介護に専門職を利用できることは、現在の生活が継続できてとても助かっています。

とはいっても、良いことばかりではありません。介護保険は未熟で成長過程であり、急速な社会変化に対応が遅れがちです。介護保険活用のヒントは、各自が人間としてどう生きるか、介護保険をうまく利用しながら最後まで自分らしく生きるための準備をしておくことだと思います。

介護保険制度の始まり

介護を受けるまたは介護をする高齢者の増加、介護期間の長期化、核家族が増えた社会的背景があり、高齢者を社会的に支えあう目的で介護保険制度が始まりました。利用者が自らサービスの種類や事業者を選んで利用し、家族はサポートするというスタイルでした。

在宅介護中の家族構成

在宅介護中の家族構成は、高齢者(夫婦)のみの世帯、高齢者単身世帯が多く、少数では高齢の母親を独身で同居の息子または娘が介護しています。夫の介護は、ほとんどが配偶者である妻が担っています。また、親が地方にいて、遠距離介護となるケースも増えています。家族介護者の現状については、(公社)全国国民健康保険診療施設協議会「平成24年3月 家族介護者の実態と支援方策に関する調査研究事業 報告書」を参考にされるといいでしょう。※文末参照

財務省発表によれば、65歳以上の高齢人口と15~64歳の生産年齢人口の比率は、1960年には1人の高齢人口に対して11.2人の生産年齢人口であったが、2013年は1人の高齢人口に対して現役世代2.3人となっている。今後、高齢化率は上昇を続け、現役世代の割合は低下し、2025年には、1人の高齢人口に対して1.8人の生産年齢人口という比率になる、2~3世帯同居が減り、核家族とおひとり様世帯がさらに増えると予測されます。

家族介護から地域包括ケアシステムへ

少子化と超高齢化が加速し、病院や施設利用が困難な状況が増え、家族だけでは介護が限界になりました。病院での看取りも限界で、在宅や施設を含めた終末期ケアも必要になったのです。

そこで、国が打ち出した方針が「地域包括ケアシステム」です。戦後、病院に集中していた医療を再び地域へ戻し、少子化による医療や介護のマンパワー不足、核家族による家族の介護力低下の問題に、地域で医療と福祉が連携し人生の最後まで支えることが出来るようにしようという取り組みです。

医療や福祉に対する意識改革

地域全体で高齢者を支えようというこの「地域包括ケアシステム」を成功させるには、私たち1人ひとりが地域をつくるという原点に返ることです。最期を住み慣れた家で迎える準備をしておかなければいけなくなります。ぜひ人任せでなく「自分らしく」人生を終えるようにしたいものです。

また、医療や福祉はタダではない、税金が投入されているということも知っておくべきだと思います。
健康保険制度が始まるまでは、医療は特別な人しか受けられませんでした。今は三割を負担すれば同様に医療を受けられます。介護保険も1割負担でサービスを受けられます。自己負担以外は税金が使われており、介護保険が開始した2000年度は3.6兆円、2013年度は9.4兆円まで増加。65歳以上が支払う保険料も全国平均で2911円(2000年度)から4972円(2012年度)へ増加の一途です。大事な事は、介護予防のために健康管理を行い健康であるということ。それが医療費や介護費用を抑え、若い人達への負担の軽減にもつながります。

最後まで家で過ごすことができます

老後の不安を煽るニュースばかりが流れていますが、介護力と本人力があれば在宅の療養生活はとても快適と現場で感じています。特殊な治療以外は、在宅で介護力があれば十分に生活継続可能です。

病院や施設では、病院や施設の方針に沿った療養生活となりますが、自分の家では、自分の必要なサービスをカスタマイズして療養生活が送ることができます。

訪問看護師になっていろんな家族や職種の方に出会いました。利用者や家族の方針を立てるために、エネルギーのいる話し合いとなりますが、違った意見をすりあわせて方針を決定し、本人を含めて納得するといい方向に向かっていきます。自分の人生は人任せではなく、自分自身が決めるのです。

人間関係が大切なポイント

1.老後は1人では過ごせません。いろんな方の支えが必要となります。

2.自分の生き方を決め、意志を周りに伝える

3.地域とのかかわりを持ち、信頼できる人間関係を地域で構築していく

4.人付き合いの能力アップ
介護サービスは人が家庭に入っていきますので、その方々をマネジメントする能力が必要です。

5.かかりつけ医を選択する
介護認定を受けたらケアマネジャーを決め必要なことを相談
ケアマネジャーが必要な人材を集めます。それぞれ専門職がそろいますので、自分と親の方針を伝えて終活の方針を決めていく。

在宅介護はまず心を整えて

経験もなく介護に突然突入するため、介護に戸惑いや不安を強く抱いている方が多くいらっしゃいます。経験や情報が少ないと不安がつきもの、まずは、気軽に電話してみましょう。情報が得られると安心しますね。また、現在はインターネットで地域の介護サービス情報や介護保険の仕組みなどの情報を得ることもできます。家計や相続問題が絡む場合など、当方の相談(有料)もご利用ください

相談機関

・市区町村の介護保険課や高齢福祉課などの窓口
・地域包括支援センター

インターネット情報

・(社)全国国民健康保険診療施設協議会「平成24年3月 家族介護者の実態と
支援方策に関する調査研究事業 報告書」http://www.kokushinkyo.or.jp/Portals
・公益財団法人 日本訪問看護財団http://www.jvnf.or.jp/newinfo/
・WAM NET(ワムネット):独立行政法人 福祉医療機構運営の福祉・保健・医療の総合情報サイト 介護事業者情報 http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/
・厚生労働省「地域包括ケアシステム」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/

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