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サードライフを見据えた セカンドライフの住まい方・暮らし方(続編)

サードライフを見据えた セカンドライフの住まい方・暮らし方(続編)

昨年の10月と今年の2月のコラムで、「サードライフを見据えたセカンドライフの住まい方・暮らし方」について書かせていただきました。今回はその続編となります。その際に、セカンドライフの住まい方・暮らし方を以下の3つに大別しました。
① 今の家に住み続ける
② 別の場所・家に住み替える
③ 高齢者用住宅に住み替える
すでに①と③については述べましたので、今回は②の「別の場所・家に住み替える」について、実例を交えながら解説していきたいと思います。

別の場所・家に住み替える理由は?

長年暮らし続けてきた住まいと環境、慣れ親しんだコミュニティを手放してまで、別の場所で暮らす理由は何なのでしょうか?住み替えを決めた方々にお話しを伺ったところ、様々な答えが返ってきました。
【事例1】
夫が亡くなった後、夫婦で暮らしていた家に一人で居るのが寂しくなり、生まれ育った故郷で、幼馴染や親戚と交流しながら暮らしたいと考えるようになった。(70代・女性)
【事例2】
毎年家族で避暑に訪れていた軽井沢の環境が気に入り、数年前にセカンドハウスを建てた。定年退職後は そのセカンドハウスを終の棲家にすることに。(60代・夫婦)
【事例3】
豪雪地帯で暮らしていたが、年齢とともに雪掻きや雪道の運転が負担になってきた。
これまでの転勤生活の中で、一番暮らしやすかった九州都市部のマンションに引っ越すことに。(60代・夫婦)
【事例4】
独身で定年まで仕事一筋だったため、現在の住まいは食べて寝るだけの場所で特に思い入れはない。第二 の人生は、趣味のゴルフと登山を満喫するために、出身地の札幌から車で1時間ほどにあるゴルフ場併設の コミュニティタウンに移り住むことに。(60代・男性)

移住先の選び方は?

移住先を選ぶ場合、都心住み替え型・地方都市移住型・田舎暮らし型・リゾート移住型・海外移住型などに分けられ、そこにUターン(出身地へ戻ること)か、Iターン(出身地以外に移住すること)かが加わります。
上記の事例をカテゴライズすると以下のようになります。
事例1⇒田舎暮らし型+Uターン
事例2⇒リゾート移住型+Iターン
事例3⇒地方都市移住型+Iターン
事例4⇒リゾート移住型+Uターン
どのタイプの移住先を選ぶかは、自分自身の価値観やライフスタイルと照らし合わせて考える必要があります。
タイプごとの特徴を以下のようにまとめてみました。

都心住み替え型

消費生活・文化活動の充実。交通機関・店舗・各種施設への利便性を重視。
・郊外の一戸建てから都心の集合住宅への移住が主となる。

地方都市移住型

消費生活や文化活動などの都市生活の利便性と、自然環境へのアクセスの良さを同時に享受。
・郊外から都市部への「まちなか居住型」と、都心から地方都市への「ゆとり住み替え型」に分かれる。

田舎暮らし型


自然に囲まれた村落(田舎)での生活を送ることを目的とする。
・移住先では農業や漁業に携わり、自給自足の生活を目指すケースが多い。

リゾート移住型


豊かな自然の中にリゾート地として開発された場所で、別荘・コンドミニアム・シニア向けコミュニ ティタウンなど、目的に応じて居住形態を選択。
・完全移住ではなく、現在の住まいとリゾート地の二地点居住のケースが多い。

海外移住型


他国の文化や風習に触れ、日本では得られない住環境と暮らしを体験。
・完全移住するケースと、長期滞在のケースがある。
・移住先の国や都市によって、田舎暮らし型・リゾート移住型・都市移住型に分かれる。

移住する際の注意点は?

「新しい土地でセカンドライフを」と考えると、ついつい楽しい面ばかりが頭に浮かび、現実的な面を忘れがちです。例えば健康面や経済面、移住先に馴染めなかった場合の対策など。そこで具体的に計画を進める前に、以下の項目について考えをまとめておくことが重要です。

①生活費
・現在の生活費と移住先の生活費の比較
・月収入(公的年金・個人年金・不労所得・配当所得・給与他)
・その他(ローン返済・保険料負担他)

②資産
・不動産(持家・別荘・実家)⇒売却や賃貸の有無・保守費用・固定資産税
・預貯金他(普通預金・定期預金・公社債・生命保険・投信・株式他)
・その他(貴金属・各種会員権・車など)

③文化・食・コミュニティ
・現在の居住地と移住先の文化の違い
・食の好き嫌い・料理の得手不得手・外食派or中食派or内食派
・人との付き合い方・コミュニティとの関わり方

④セカンドライフの過ごし方
・仕事(フルタイム・週数日・お小遣い程度)
・ボランティア活動・コミュニティ活動
・勉強(趣味・資格取得)
・農作業(農業に従事・家庭菜園)
・スポーツ(登山・ウォーキング・ゴルフ・テニス・スキー他)

⑤健康状態
・持病の有無
・体調の不安

⑥サードライフに向けての準備
・大病もしくは介護が必要になった場合
・パートナーが亡くなり、おひとり様になった場合
・自身の親や子供への支援の有無や同居の可能性

以上について、パートナーやご家族としっかりと話し合い、現在の暮らしと移住先での暮らしのメリット、デメリットを検討してください。また、これを機にエンディングノートを作成しておくのも良いでしょう。

最後に、先述した【事例1】の方から、移住した後の暮らしと感想を伺いました。
「仙台に家を建てて約1年半が経ちましたが、いまだに横浜と仙台を行ったり来たりしています。当初は横浜がメインで仙台は月に1週間程度でしたが、今はそれが逆転しています。仙台の家で幼なじみや親戚と集まることはありますが、月に1~2回程度で思ったほど多くは有りません。天体観測や山登り、温泉めぐりなど、趣味を通じた新たなネットワークづくりに取り組んでいるところです。持病があるため定期検診が必要で、その時だけは主治医のいる横浜に戻っています。引っ越す前に想像していた生活とはかなり違っていますが、仙台でのセカンドライフを徐々に楽しむようになってきました。病院と新たな主治医が見つかれば、完全移住すると思います。」とのこと。

※ 一般財団法人 移住・住みかえ支援機構
移住を考えているが、何から始めればよいか分からないという方には、「一般財団法人 移住・住みかえ支援機構」のサイトが参考になります。

参考文献:移住・住みかえ相談の対応要領(案)

阿比留美和

阿比留 美和 (あびる みわ)

一級建築士

住宅メーカーと設計事務所で専用住宅や併用住宅、共同住宅などの設計業務を行った後、その経験を生かしてリビング・デザインセンターOZONE(OZONE住まいづくり相談)で、終の棲家やバリアフリー住宅についてを含む、住まい づくり全般の相談に対して、中立的な立場からアドバイスを行う。

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