親の介護・相続と自分の老後に備える.com親の介護・相続と自分の老後に備える.com

ゆとりある老後生活に向け、税制優遇商品「iDeCo」を活用しよう

ゆとりある老後生活に向け、税制優遇商品「iDeCo」を活用しよう

平均寿命は今後右肩上がり

厚生労働省の調査によれば、平均寿命の推移は2060年には女性が90歳以上、男性は84歳以上と今後、毎年伸び、まさに人生100年時代を迎えている。これからの老後生活期間は50年前に比べ2倍~3倍は伸びそうです。健康面や生活資金面で長寿化リスクへの不安も多くなっていくことは明らかです。

内閣府の「国民生活に関する世論調査」(2011年)のデータによると、「毎日の生活を充実させて楽しむこと」に力を入れたい人の割合が、60~69 歳は78.1%、70 歳以上は84.8%となっており、60 歳以上の各層は増加傾向です。豊かな高齢者生活を送ろうとしていることがうかがい知れます。

平均寿命の推移

平均寿命の推移

資料:1950年及び2010年は厚生労働省「簡易生命表」、1960年から2000年までは厚生労働省「完全生命表」、2020年以降は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

自助努力は急務

老後生活資金での大きな柱となる「公的年金」の資金の流れをみると、少子高齢化の波で保険料と給付額にアンバランスが生じています。今後の給付額の減少も視野に入れなければならない。現役世代が65歳以上高齢者1人を支えるのに9人~10人であった時代は、「公的年金」はゆとりある老後資金と言われましたが、今や現役世代2.5人で65歳以上高齢者1人しか支えられず、2060年には現役世代1人が高齢者1人を支えると推測されています。「公的年金」は老後の最低生活を維持する費用だとの覚悟が必要です。まだまだ老後は先の話と思っている方、自助努力は急務です。

2017年総務省家計調査によると高齢夫婦無職世帯での月平均消費支出額は23.5万円(非消費支出額2.8万円は含まず)、可処分所得は18万円です(高齢夫婦平均年金額は22万円)。家計収支は不足分が5.4万円あり、貯蓄の取り崩しで生活を維持していると考えられます。

単純に平均寿命が70歳であれば、現役を退き老後期間は約10年間程度となり、貯蓄取り崩し金額は約600万~700万程度となりますが、今や老後は30年~40年を考える必要があり、老後資金は公的年金を含まず、65歳時点で預貯金なしと仮定すると、約2,000万円程度は必要となるでしょう。この額は高齢者夫婦の基本的生活レベル維持で、ゆとりある老後生活資金といわれる37万円/月までには足りません。

資産づくりに節税効果を活用

高齢者夫婦家計収支不足分は現役時代に資産形成せざるを得ません。せっかく資産形成をするのであれば、節税効果のある税制優遇商品を活用し、ライフプランに併せて計画していくことが懸命だと思います。

節税効果ある税制優遇商品の仕組みと活用方法を今月から6回にわたり紹介していきます。

この税制優遇商品をどの世代で開始するかはご自分自身の今後のライフイベントをしっかり計画した上で、必要生活資金を明確化し、資産形成への拠出可能な金額を算出しましょう。併せて家計管理の見直しも必須です。

iDeCo 個人型確定拠出年金

特徴

2017年1月から、公務員・専業主婦までiDeCoの加入者範囲が拡大されました。特徴としては

1. 基本的には20歳から60歳未満の全ての方が加入できる。

2. 加入者が拠出限度額の範囲内で任意に掛金を設定でき、積み増すことができる。2018年1月からは掛け金は年単位で可能。したがって、年一度の拠出も可能となり、例えばボーナス期のみ拠出もできる(ただし、予めの申請が必要)。

3. 拠出した掛金の全額が「小規模企業共済掛金控除」の対象。

4. 国民年金基金連合会が実施主体。

拠出金一覧 (単位;円)

被保険者 職業他 月額下限 月額上限 年間上限 平均月掛金額
第1号被保険者 自営業・無職 5,000 68,000 816,000 27,439
第2号被保険 企業年金なし 5,000 23,000 276,000 16,216
企業型DCあり 5,000 20,000 240,000 10,638
確定給付DCあり 5,000 12,000 144,000 10,638
公務員 5,000 12,000 144,000 11,074
第3号被保険者 専業主婦 5,000 23,000 276,000 16,127

国民年金基金連合会平成30年7月末現在 加入者全員平均月掛金16,222円

節税効果

全ての時点において節税メリットが発生する制度です。

1.拠出時:非課税(拠出した掛金額は全額所得控除)
自営業者は確定申告、給与所得者は年末調整で年金保険料として、拠出金額×税率分が戻る。
課税所得が減少するため、税額減少へつながる。

2.運用時:運用益非課税
投資信託で得られた売却益や分配金、定期預金の利息には20.315%税金がかかるがiDeCoは非課税。
分配金を元本に再投資すれば、複利効果が得られる。

3.給付時:年金給付の場合は公的年金等控除が可能
(2020年法改正により控除額が10万円引き下げられます)。
一時金での場合は退職所得控除が適用される。

注)退職所得控除額を超えた場合は税金がかかります。事前に退職金額を知ることが大事です。

退職所得控除額は、例えば勤続40年とすれば2,200万円となります(40万円×20年+70万円×20年)。したがって、他に退職金が出た場合には合算されるので総額が2,200万円を超えた場合は超えた額×1/2に所得税がかかることになります。

【節税効果例】
課税所得額500万円/年(所得税率は課税所得「330万円~695万円以下」のランクで20%)
年間拠出金額 24万円/月と仮定すると24万円×所得税20%=4.8万円、24万円×住民税10%=2.4万円。
節税額は4.8万円+2.4万円=7.2万円。20年間で同じ給与ベースの人と比べ140.4万円の得となります。

他メリットとしては「運用なしの元本確保型」のタイプでも税制メリットは享受できる。また転職、離職した方など他の企業年金から移管する場合も非課税が可能です(ポータビリティ)。

デメリット

1.60歳までは中途解約できない。(掛金の減額は可能)
途中引き出しはできないため、必要資金は確保しましょう。ライフイベントをしっかり計画し、しかし、60歳までは確実に資金形成はできる。

2.毎月のコストがかかる。
・加入時:2,777円
・国民年金基金連合会手数料(共通):103円×12ケ月
・事務委託金融機関手数料(共通):64円×12ケ月
・運営管理機関手数料(各金融機関で異なる):0円~450円×12ケ月 
30年間拠出したとしたら(運営管理機関手数料0円の金融機関を選択した場合)
2,777円+(103円+64円)×12ケ月×30年=62,897円のコスト発生
※2018年1月より年単位の拠出が可能で、拠出金を年払い1回にすると、国民年金基連合会手数料の103円は1回のみとなります。 2,777円+(64円×12ケ月×30年)=25,817円となり
年37,080円のお得です。

3.資産の運用は加入者自身が行い、受け取る額は運用成績により変動する。

4.同時に2つ以上のiDeCoプランに加入することはできない。
(運営管理機関を途中で変更することは可能です。)

5.課税所得がない専業主婦などは、拠出時の所得控除を受けることができない。

まとめ

一般の投資信託よりコスト面では抑えられており、元本確保型もありますが、あくまでも投資にはリスクが伴います。投資は自己責任ですので、しっかりご自分のライフイベントに沿って拠出額を設定し、節税効果を利用しましょう。老後資金の柱の一つとして有効活用できます。

次回は「財形年金貯蓄」を紹介します。

ファイナンシャル・プランナー 入野泰爾

入野 泰爾 (いりの やすじ)

ファイナンシャルプランナーCFP、FPデザインオフィス 代表
海外ロングスティアドバイザー(2012.8取得)、1種証券外務員(2013.2取得)、
年金アドバイザー(2013.11取得)、住宅ローンアドバイザー(2014.1取得)、
相続アドバイザー(2014.3取得)、日本FP協会会員、
神奈川県ファイナンシャルプランナーズ組合員

大学卒業後、大手食品メーカーで営業部門・総務部門を経て2012.2定年退職後、FPとして家計相談、セミナー講師、FP資格講師などで活動しております。前職時代の経験、また私自身の経験を通して現在の超高齢社会での長期間に渡る老後において安心・安全な生活を過ごせるようにいろいろな角度からアドバイスをして参ります。得意分野は金融資産運用含め、リタアメントプランを中心に展開しております。若年層から高齢者層の方々が自分の夢や希望を実現させるためにお役にたてれば幸いです。

詳細はこちら


l>