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ランキングから見た老後に向けた「備え」その4-老後の生活にはいったいいくらかかるの?-

ランキングから見た老後に向けた「備え」その4-老後の生活にはいったいいくらかかるの?-

高齢期の生活費は勤労世帯と比べ年間約90万円の差!?

老後にかかる支出の内訳は、どのようになっているのでしょうか?

家計調査(2人以上の世帯)平成29年(2017年)1月分速報(平成29年3月3日公表)総務省統計局のデータから勤労世帯(平均48.8歳)と無職世帯(平均73.3歳)の比較から何が減って、何が増えているのでしょうか。

支出面では食料、住居、交通・通信、諸雑費が高齢期無職世帯でそれぞれ約月1万円前後減り、特に教育費は約2万円の減少です。非消費支出の税金、社会保険料は6.5万円少なくなっており、増加は保険医療費、交際費(特に贈与金)で合計約1万円程度多くなっております。

消費支出合計(非消費支出を除く)でみると、勤労世帯は約30.7万円、高齢期世帯は23.3万円。その差は約7.4万円で年間約90万円の差です。家族構成からみると思うほど年間支出額の差はないようですが、勤労世帯と無職世帯では収入額という面での大きな違いがあり高齢期になるにつれ金銭的価値観も変化していきます。このデータから推測されるのは高齢期に入り、現役時代と同様の支出を抑えるのは難しいとも言えるのではないでしょうか。

参考:世帯主の年齢階級別家計支出(2人以上の世帯)2017年(総務省統計局)

公的年金だけで暮らせますか?

高齢期の収入面では殆どが公的年金です。新規裁定者(67歳以下の方)の年金額は平成29年度厚生年金221,277円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)、基礎年金は64,941 円です。

総務省統計局の家計調査では支出が約25万円(23.3万+1.5万円)となりますので、家計収支としては月額の差額は年金世帯で約△3万円です。そこでモデルケースとして65歳からの平均余命でみた生涯必要資金を計算してみましょう。

平均余命 男性19.46年、女性24.31年 (夫が85歳以降、妻は1人生活に入ります)

収入額

夫婦2人の年金月額:約22.1万円(厚生年金)×12ケ月×19.46年 ≒約5,160万円

※厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8 万円)で40 年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準です。

妻一人生活

遺族年金月額:約13.3万円(遺族年金)× 12ケ月×(24.31年-19.46年)≒約 774万円
(6.5万円+9万円×3/4=13.25万円)
年金収入合計≒約5,934万円

支出額

高齢者夫婦 支出額 約25万円×12ケ月×19.46年≒5,838万円

妻1人生活 支出額 約17.5万円×12ケ月×4.85年≒1,018万円 (夫婦2人×70%で試算)
支出合計 ≒ 6,856万円

65歳からの生涯必要資金は6,856万円-5,934万円=992万円(但し、借入金「0円」が前提)

参考:平成29年1月27日厚生労働省プレスリリース「平成29年度の年金額改定について」

総務省から1月27日「平成28年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)が公表され、対前年比0.1%の下落となりました。平成29 年度の年金額は、法律の規定により、平成28 年度から0.1%の引下げとなります。なお、平成29 年度の年金額による支払いは、通常、4月分の年金が支払われる6月からです。

上記の試算からみると必要資金は公的年金以外で約1,000万円程度が必要となります。あくまでも平均的な試算ですが、人生100年といわれる現在、高齢期間は上記試算より10年~15年程度増を想定することも考えなければなりません。支出増も約1.5倍の1,500万程度は押さえておきたい。家計支出額は個々の生活により違いはありますので、改めてご自分の家計をチェックしてみてはいかがでしょうか。また、老後生活資金の柱である公的年金給付額はきちんと調べておかなければなりません。平均余命から男性より女性のほうが長生きする可能性が高いようですので、女性一人暮らしになった場合の老後の安心も備える必要があります。長生きを考えれば1,500万円+アルファーを考えざるを得ません。

老後資金のプラスアルファーは?

長生きすることは良いことですが、残念ながらリスクも発生する可能性もあります。経験したことのない長寿化で支出も拡大し、生活資金も長生き分だけ必要になってくるのは当然のことです。

日常生活費以外に、住宅リフォームや、医療、介護が必要になった時のためのお金などです。さらに不安なことに介護はいつ始まっていつ終わるか予測ができません。ちなみに介護での自己負担金は年間80万円で平均介護期間は5年間ともいわれます。介護費だけでも初費用含め、合計で500万以上は必要と考えておくべきでしょう。「ランキングから見た老後に向けた備え その1 内閣府の意識調査」の通り約2,400万円の貯蓄額は妥当と言えるでしょう。

たとえ年金で生活費が賄えたとしても、もしもの時のお金がなければ、いざという時に生活は一気に苦しくなってしまいます。暮らしの中の最大のストレス原因はお金といわれます。ひいては健康への悪影響も及ぼしかねません。負のスパイラルは断ち切りたいものです。

今の勤労世代が年金をもらう年齢のときは、受給年齢の引き上げや減額などの可能性があります。

穏やかな老後を送るためにも老後の生活費に困らないよう年金だけを当てにせず、お金を貯めておくことも大事ですが、この長寿社会を健康で上手に生き抜くプラスアルファーには収入を得るという生涯現役づくりも考えたいものです。

次回その5は「高齢期の生計を支えたいと思う収入源」について考えてみます。

ファイナンシャル・プランナー 入野泰爾

入野 泰爾 (いりの やすじ)

ファイナンシャルプランナーCFP、FPデザインオフィス 代表
海外ロングスティアドバイザー(2012.8取得)、1種証券外務員(2013.2取得)、
年金アドバイザー(2013.11取得)、住宅ローンアドバイザー(2014.1取得)、
相続アドバイザー(2014.3取得)、日本FP協会会員、
神奈川県ファイナンシャルプランナーズ組合員

大学卒業後、大手食品メーカーで営業部門・総務部門を経て2012.2定年退職後、FPとして家計相談、セミナー講師、FP資格講師などで活動しております。前職時代の経験、また私自身の経験を通して現在の超高齢社会での長期間に渡る老後において安心・安全な生活を過ごせるようにいろいろな角度からアドバイスをして参ります。得意分野は金融資産運用含め、リタアメントプランを中心に展開しております。若年層から高齢者層の方々が自分の夢や希望を実現させるためにお役にたてれば幸いです。

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