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住宅照明のバリアフリーを考える

住宅照明のバリアフリーを考える

住宅のバリアフリーというと、段差解消や引き戸活用などに加え、ヒートショックという言葉とともに、温度差のない空調計画も認知されてきました。しかし照明のバリアフリーについて、意識している人はどのくらいいるのでしょうか。
そこで今回は、照明の基本と高齢者対応の照明計画について、説明したいと思います。

照明のバリアフリーに関連する照明用語

照明に関する用語や記号、単位は、LED電球の普及とともにより複雑になってきました。ここでは、照明のバリアフリーを考える上で最低限知っておきたい用語を4つ選び、解説します。

照度(明るさ):照らされた面・場所の明るさ
輝度(まぶしさ):人が感じる明るさ・ある方向から見た物の輝き
コントラスト(明るさのバランス):視野内の明暗差
色温度(光の色):色温度が低いと赤みかかった光、色温度が高いと青みかかった光

加齢による視覚機能の低下

加齢に伴って低下する身体機能の中に、視覚機能も含まれます。小さな字が読みづらい、段差に気づかない、すぐに目が疲れてしまうなど、様々な場面でその影響は出ています。一般的には、20歳を基準に、必要となる照度は50歳で2.4倍、60歳で3.2倍といわれています。そのため、高齢者の住まいの照明計画は、明るくすればよいと思われがちですが、過剰な明るさは暮らしの快適性を損ないます。 具体的な視覚機能の低下を前述の照明用語に沿って、解説します。

明るさ
明るさに鈍感になり、照らされた面や場所が暗く見える。
まぶしさ
まぶしさには敏感になり、輝度の高い物はよりまぶしく、不快に感じる。
明るさのバランス
明るい所から暗い所へ移動した際、視力が回復するまでに時間を要する。20代では約30秒で回復す
るが、60代以上になると、1~2分掛かる。
光の色
青や緑系の色の識別認識が鈍くなる。

照明のバリアフリー対策

照明のバリアフリー対策を、以下の3つのポイントをまとめました。

1. 部屋全体は通常の明るさ(※)を、作業面は通常の1.5~2倍の明るさを確保できるよう、主照明(天井照明など)と補助照明(フロアスタンドやデスクライトなど)を組み合わせて計画。補助照明に使用する電球は、オレンジ系の電球色を選ぶとまぶしさが抑えられ、目の負担が軽減される。
2.電球が直接目に入らない照明器具や間接照明を選ぶとともに、内装材もなるべく艶がない(光が 反射しない)素材を選ぶと、まぶしさが抑えられる。
3.明るい居間から暗い廊下やトイレに移動する際、視力が奪われ回復までに時間を要するので、人感 センサー付き照明を選び、明るさの均一化をはかる。

加齢による視覚機能の低下には個人差があり、また同じ家に長く暮らしているとその環境に順応し、目に負担が掛かっていることに気づかない場合もあります。新築やリフォームはもちろん、電球を取り替える際も、「明るさ」「まぶしさ」「明るさのバランス」「光の色」を意識すると、快適な住宅照明が得られます。

※通常の明るさとは、照明メーカーのカタログに記載されている「部屋の広さに適した明るさ」を指しています。

阿比留美和

阿比留 美和 (あびる みわ)

一級建築士

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