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需要があるのに市場の小さい高齢者見守りサービス

需要があるのに市場の小さい高齢者見守りサービス

高齢者の方だけで暮らすというケースが増えています。平成25年度の高齢化白書では、高齢者のいる世帯は全世帯の約4割、そのうち半数が高齢者のみまたは一人暮らしという結果がでています。
家庭内での事故や消費トラブルといった問題は高齢者側からだけでなく、離れて暮らす、家族の方にとっても心配の種になっています。
そこで、見守りサービスといった新しい分野が注目されています。

まだまだ小さい市場規模と異業種企業の参入

見守りサービスの市場規模は2010年に2社の民間業者によって調べられ、90億円から120億円程度と推定されています。
この数字は今年200億円を超えたといわれているウコンの市場規模に比べても小さいものです。2020年には132億円まで伸びるという数字も出ていますが、新規市場としての伸び率はウエアラブル端末が今後5年で20倍に伸びる(日経記事)といわれるものと比べるとあまりにも貧弱です。

このような市場ですが、さまざまな会社が成長分野を求めて参入してきています。
警備会社、医療機器、ガス、電気製品、センサーを作っている会社、NPOなどその分野は様々です。
さらに、企業の技術を用いた見守りだけでなく、市町村なども対応を迫られており、新聞社やインフラの会社への依頼や、見守り組織を作るといった方法が取られています。ただ、これらのサービスは人がいないと成り立たないため、にとどまっています。

見守りサービスの内容と費用

企業による見守りサービスは主に、センサーや端末を高齢者の家庭に設置して、動きを検出し、長時間反応がない時に連絡をする、いざという時の高齢者本人がボタンを押してあらかじめ登録していたところに知らせるといったことを行っています。
さらには、医療相談や人の駆けつけサービス、転倒センサー、行動パターンの分析などその種類も多く、個人のニーズにあわせて選択できますが、どれを選んだらよいのかといった問題もあります。
費用は設置費用と月々の費用になりますが、設置費用は1万円前後、月々の費用は千円台から4千円台まであり、設置費用をなくして月々の費用を高くしたもの、端末もレンタルや買い取りによって費用が変わるなど様々です。

今後の売上の伸びを考え低価格に設定しているとか、使用料をあまり高くすると加入者がいなくなるなどいろいろなことが考えられますが、今の市場規模でこの価格設定は各社の苦悩が見てとれます。使う側から見ると企業側が安く設定してくれている今がチャンスですが、今後、サービスが縮小されないかといったリスクがあります。

携帯電話会社では

auが2011年に高齢者用のシンプルスマホと見守り歩数計(MiLook)を出しましたが、それ以来の新製品が出てきていません。今は各地の自治体と組んで、高齢者むけの通信機器の実証実験に力をいれているようです。

ドコモはガラケーに採用していた見守りサービスをスマホへ展開すると発表しました。
ソフトバンクの製品では、高齢者にもスマホの機能をつかってもらおうと、音声メールや定型文でのメール送信といった機能が付けられています。
携帯電話会社各社は高齢者にスマホやタブレットを使ってもらって、それに見守りサービスを付けるといった姿勢のようです。

今後の課題と展開

これまで、いろいろなサービスを見てきましたが、やはり、一番の問題点は市場規模が小さいことだと考えています。民間企業の推計ではすでに100兆円を超えていると言われている高齢者市場の中で、わずか100億超の市場では発展は望めません。市場が拡大していくためには、そのサービスが安心を与えるだけでなく、楽しく有用だと思って使っていく方向へすすんでいく必要があります。
各自治体と携帯電話各社が行っている実証実験の中に、高齢者自身が使いたい、手離せないといった感覚が出てくるのでしょうか?結果が期待されますが、予算だけをつかって結果の出ないものにならないことを願うばかりです。

視点を変えると、技術の発展も目覚ましいものがあります。子供がLINEでのやり取りする単語を分析して、いじめを早期に見つけるといったサービスが発表されましたが、今後は高齢者の会話を通じて、認知症の早期発見といったことに使えれば良いなと思っています。連絡したところ、技術的には可能だが、まずは子供市場で足場を固めたいという回答をもらいました。
楽しく使って市場が拡大し、見えないところで見守ってくれるといったサービスになればいいなと考えています。

見守りサービスを利用する前に、ご両親のお体や、精神状態はつかんでおきたいものです。インターネットを使うと時間や距離を超えたコミュニケーションをすることができます。いまや高齢者はインターネットを使わないといった常識も過去のものになってきています。
インターネット機器も多種多様、使いやすい機器も多くあります。一方、これが正解だというものはありませんし、使われ方によって変わってきます。
本講座では、離れてお住まいの親御さんにインターネットへの興味をもってもらい、お互いの負担にならないコミュニケーションの方法など知っていただきたい知識とともに、必要以上にお金をかけない使い方などを知っていただくことで、ご高齢者の生活の質も向上する方法を提案します。

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ファイナンシャル・プランナー 上本勉

上本 勉(うえもと つとむ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)、フリーFP、 通信費アドバイザー

前職はエンジニア。2008年退職後、FPとして、リタイア後の生きがいと安心をテーマに活動中。

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